本作でキム・ヒャンギは、突然この世を去る少女・チョンジ役を演じました。
物語は、家族や姉がチョンジの死の理由を少しずつ知っていく形で進みます。
劇中でキム・ヒャンギは、多くを語らずとも孤独や苦しみを繊細に表現。
静かな表情や視線だけで感情を伝える演技は、高く評価されました。
また、ぽろりと大粒の涙を流す場面も印象的です。
さらにキム・ヒャンギは後のインタビューで、本作についてこう語っています。
「感情を持ってキャラクターに向き合うことがどんなものかを理解させてくれた作品だった」
実際にインタビュー中作品について語る途中で言葉に詰まり、唇をかみながら涙を見せる場面もあったほど。
作品や役柄に深く向き合っていたことが伝わるエピソードとして、多くのファンの印象に残っています。
そしてその演技力が認められ、第50回百想芸術大賞では女性新人演技賞を受賞。第50回百想芸術大賞
また、ソウル国際青少年映画祭でも青少年演技賞を受賞しています。 Kstyle
映画自体も公開最初の週末の興行成績で、強豪作品を抑えて初登場1位に輝くなど話題になりました。
また、韓国国内では最終観客動員数が161万人を超えるヒットを記録。
これを機に一本の映画を引っ張る主役級の演技派女優として、業界内外から認められるようになりました。
②神と共に 第一章:罪と罰(2017年)第二章:因と縁(2018年)
火災現場で殉職した消防士が、冥界の使者と共に生まれ変わるための裁判を受けるファンタジーアクションです。
キム・ヒャンギは、死者を導く月の遣いドクチュン役として出演。
冒頭から、今までにない年相応の明るくはつらつとした笑顔に惹きつけられます。
その可愛らしさの中に冷静さや優しさを併せ持つキャラクターを自然に演じ、多くの視聴者から支持を集めました。
実はキム・ヒャンギがドクチュン役にキャスティングされたのは、撮影監督キム・ビョンソからの推薦がきっかけだったそうです。
「ドクチュン役にはキム・ヒャンギが合う」と勧められた監督キム・ヨンファも、ドラマ「女王の教室」を見てその意見に同意。
そんな制作陣の期待に応えるため、キム・ヒャンギ自身も役作りに真剣に向き合っていました。
法廷シーンでは話し方について「雄弁なアカデミーのトーン」が求められていたそうです。
そのため「インターネット上の雄弁な学生たちの動画を参考にした」と語っていました。cine21
こうした役作りへの丁寧な姿勢からも、キム・ヒャンギの演技に対する真剣さがうかがえます。
そうして見せた演技が大きな反響を呼び、第39回青龍映画賞で助演女優賞を受賞。
彼女は受賞時18歳で、それは同賞の歴代最年少受賞記録となりました。Instagram
その他にも二つの賞を受賞しています。
作品自体も圧倒的なVFX技術や監督の演出力が認められ、多くの賞を受賞しました。
しかも賞だけではなく、観客動員数においてもシリーズ通して2600万人以上を記録。
韓国の映画史上初めて、シリーズ2作品がともに観客動員数1000万人を突破する歴史的快挙を成し遂げています。
キム・ヒャンギは「神と共に」での大成功と青龍映画賞の最少記録受賞により、
業界内から絶大な信頼を得るとともに、海外でも大ヒットしたことで海外ファンも拡大。
韓国映画界を背負って立つ若き名優へ、と名実ともに上り詰めたのです。
③無垢なる証人(2019年)
殺人事件の容疑者の弁護士と、事件の唯一の目撃者である自閉症の少女との交流を描いたヒューマンドラマ。
キム・ヒャンギは自閉スペクトラム症を持つ少女・ジウ役を熱演しました。
繊細な感情表現が求められる難しい役どころでしたが、細かな仕草や話し方まで丁寧に演じ、多方面から称賛を受けています。
後のインタビューで、彼女は演技に対してこう語っていました。koreajoongangdaily
「脚本を読んだり監督と話し合う過程で、私自身がキャラクターそのものになっていく」
実際撮影現場では、表情や手の動きなどを監督と二人で話し合いながらジウというキャラクターを作っていったのだそうです。
それはジウが映画内で初めて発した言葉の声のトーンからも、十分伝わってきました。
また物語最大の見どころでもある彼女の証言シーンは、圧巻の一言です。
この徹底した役作りが認められ演技派として最も名誉ある、韓国映画評論家協会賞で優秀女優賞を受賞。Kstyle
またゴールデン撮影賞では最優秀女優賞を続けて受賞し、演技賞の頂点に立ちました。 Kstyle
映画は最終観客動員数252万超えを達成し、中規模予算のヒューマンドラマ映画としては大成功を収めています。
キム・ヒャンギを韓国映画界のトップに君臨する演技派女優へと押し上げた、キャリア史上最大の転換作となりました。
監督がインタビューで語っていたキム・ヒャンギの持つ、自分の内にある感情を目のわずかな変化で表現できる才能。
この映画は、その才能が最も発揮された作品と言えるでしょう。
④ハンサン ―龍の出現―(2022年)
実際に起こった閑山島海戦を映画化した、本格歴史海上アクション大作です。
キム・ヒャンギにとっては初の時代劇で、日本軍に潜入し最高機密を朝鮮水軍へ伝える間者チョン・ボルムを演じています。
この映画は2014年に公開された映画「バトル・オーシャン 海上決戦」の過去を描いた作品です。
キム・ヒャンギの役は、前作でイ・ジョンヒョンが演じた言葉を喋れない女性の若き日の姿。
今作ではなぜ言葉を失う事になったのか、その理由が明かされるとあって注目を集めました。
男たちの激しい海上戦がメインの本作において、キム・ヒャンギは紅一点。
鋭い眼光と息をのむ緊迫した脱出劇だけで圧倒的な存在感を放つ、物語に欠かせないヒロインとして観客を魅了しました。
その功績が認められ、第42回ゴールデン撮影賞では撮影監督たちの投票によって選ばれる人気女優賞を受賞。
また第58回大鐘賞映画祭と第27回春史国際映画祭において助演女優賞にもノミネートされています。
惜しくも受賞には至りませんでしたが、業界最高峰の審査員たちに認められた証となりました。
そして映画自体も、観客動員数730万人を超える大ヒットを記録。
しかも興行的な成功だけでなくクオリティの高さが認められ、韓国の主要映画賞で数多くの賞を受賞しています。
またキム・ヒャンギにはそれまで健気で愛らしい少女や心に傷を抱えたヒロインというイメージがありました。
それを見事に覆し、国家の命運を握る冷徹かつ勇敢なスパイという大人のシリアスな役柄を見事に表現してみせたのです。
これにより、どんなジャンルもこなせる演技の幅が非常に広い俳優であることを改めて世に知らしめました。
⑤済州島四・三事件 ハラン(2025年)
1948年に実際起こった、三万人にも及ぶ島民を虐殺したという事件を映画化。
キム・ヒャンギは戦火の中、軍の追っ手から幼い娘を守ろうと過酷な逃避行を続ける母親コ・アジンを熱演しています。
ハ・ミョンミ監督は脚本の第1稿ができた時点で、この役を演じられるのは彼女しかいないと思い真っ先にオファーしたそうです。
キム・ヒャンギもその信頼に応えるために済州島の方言を監修者と一対一で学んだといいます。 Kstyle
また海女であるアジンの動きを完成させるために、海女としての身のこなしもマスターしたのだとか。
子役から始めた彼女が演じる、初の母親役。
ですが映画を通じて母親としての姿で何かを見せなければとは、思わなかったとも語っています。
母親役を演じることについても大きく意識したことはないといい、自然に撮影に臨めたようです。
実際の生存者たちの証言をベースに作られた主人公、アジン。
記録にも残らなかった多くの島民の存在を彼女の姿を通して訴えかけた映画は、新たな名作と評価されました。
日本でも2025年あいち国際女性映画祭で先行上映されましたが、チケットは完売。
無冠の名作と絶賛されています。
今後韓国国内の主要映画祭では社会派の実力作として、最優秀女優賞や新人監督賞の部門で名前があがるのではと有力視されているようです。
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